こんにちは、まえだ治療院です。
今回は「体を張ってピロリ菌を証明した男」です。
昔の生活から井戸水の飲水が原因で、
胃にピロリ菌を保菌しているなど、
今では胃がんの原因にもなるとして
ピロリ菌の除去もすすめられていますが、
1979年にピロリ菌が発見されるまでは、
「胃には菌(生物)はいない」というのが通説でした。
胃の胃酸が強い酸性ですので、
この環境下ではどんな生物も生存できないだろう
という考えです。
確かにそうなんですが、ピロリ菌だけは違います。
ピロリ菌は自分の周りを強アルカリで包むことで、
胃の中では胃酸が中和され
それで胃の中でも生存することができます。
はじめてピロリ菌を発見したのは
オーストラリアのロビン・ウォーレン教授で、
共同研究者のバリー・マーシャルが1983年に
世界で初めてピロリ菌の培養に成功しました。
二人はピロリ菌が「胃潰瘍の原因である」と
学会で発表しますが、
なかなか受け入れてもらえず、
「胃潰瘍の原因はストレスと食生活」という
根強い学説と、
やはり「胃に細菌など生息できないだろう」と
言われてしまいます。
マーシャルが涙ながらにみんなの前で
「ピロリ菌はいます!」と
いったかどうかはわかりませんが、
どうすれば、ピロリ菌の存在を認めてもらえる?
考えたマーシャルがたどり着いた結論は
「よし!ピロリ菌を飲もう」でした。
84年マーシャルは自説の正しさを立証するべく
自らピロリ菌を飲み込みました。
するとたちまち体に異変が起こり、急性胃炎を発症
胃の炎症部位からピロリ菌を取り出し、
培養していたものと同じ遺伝子型であったことを
確認しました。
この出来事は完全にマーシャルの独断で行ったため、
マーシャルの妻から
「うちには小さな子供がいるのよ!」
と大激怒されたと言われています。
ただすぐに、
彼の学説が認められたわけではありません。
認められたのは10年後の1994年のことです。
それからさらに11年後の2005年
マーシャルの功績は讃えられ、
ピロリ菌発見者のウォーレン教授とともに
ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
マーシャルは医学の発展のために体を張った男です。
まえだ治療院 院長 前田諭志