こんにちは、まえだ治療院です。
今回は「コレラ菌を飲み干した男」についてです。
コレラは19世紀に世界で流行した伝染病です。
コレラもそうでしたし、
ペストも当初は菌が原因であるとは考えられておらず、
淀んだ悪い空気「瘴気(しょうき)」である
と言われていました。
そのため鳥のくちばしのようなペストマスク、
その先端には、良い空気ということで、
良い香りのするハーブが詰め込まれており、
それが予防につながると信じ込まれていました。
同時期にドイツのロベルト・コッホが
高倍率の顕微鏡の開発に成功したことで、
数多くの病原菌が発見されます。
コレラの原因は瘴気ではなく、
コレラ菌によるものであると突き止めますが、
これに納得がいかない男がいました。
コレラは瘴気が原因であると考えていた
ドイツの衛生学者マックス・ペッテンコーファーです。
ペッテンコーファーは
自説が正しいとコッホを激しく非難し、
「そんな細菌がいるなら出してみろ!」と
コッホにサンプルを要求します。
コレラ菌がいっぱいのフラスコを、
ペッテンコーファーは同僚が見ている前で、
一気に飲み干しました。
ペッテンコーファーは
「きっとなんにもならない、自説が正しいはずだ」
と意気揚々としていましたが、
当時74才のペッテンコーファーの
老体に激しい胃けいれんと下痢が襲います。
コレラ発症です。
ペッテンコーファーは
一週間の闘病の末、完治しますが
当時のコレラの死亡率からいうと、
単に運がよかっただけと言えます。
後に彼はコッホに対して
「通常通りの健康体を保っていると断言できることに
満足している」と見栄を切った手紙を送っています。
この出来事からコレラの原因は
やはりコレラ菌であったと証明されました。
この記事の内容ですと、
マックス・ペッテンコーファーは
悪者のような印象になってしまいますが、
彼は「近代衛生学の父」と言われており、
自身が唱えていた瘴気をなくすために、
下水道の重要性を訴え、
その普及と整備に貢献した偉い人です。
まえだ治療院 院長 前田諭志