こんにちは、まえだ治療院です。
今回は
行きすぎた自己愛「自己愛性パーソナリティ障害」
についてです。
自己愛があることは決して悪いことではありません。
自尊心や自己肯定感、自己有能感というのは大切ですし、自分が自分を愛すことが出来ないというのはそれはそれで問題です。
ただ行きすぎた自己愛も、
これもこれで問題になります。
自己愛性パーソナリティ障害(以下:NPD)は
一般的なナルシストのイメージとも違います。
「自分は特別な人間であり、特別な才能、特別な美貌をもっている。したがって誰からも賞賛されるべきで、特別待遇を受けて当然である」と考えています。
これはもちろんナルシストではありますが、
他人に対して自分を特別扱いするように強要する
意味合いが強くなります。
自分に対して批判的な意見があれば激しく怒るという
攻撃性もあります。
ただただ自分が好きな人とはここに違いがでます。
NPDの診断基準は
A.自分は特別重要な人間であるという
感覚をもっている
B.限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは
理想的な愛の空想にとらわれている
C.自分が特別であり、独特であり、他の特別なまたは
地位の高い人たちにしか理解されない。
またはその人達とのみ関係があるべきだと信じている
D.過剰な賞賛を求める
E.特権意識、自分に特別なはからいがあるべきだと
考えている
F.対人関係で相手を不当に利用する。
つまり自分の都合のよいように相手を利用する
G.人への共感性が欠如している
H.しばしば他人に嫉妬する。
また他人が自分に嫉妬していると思い込む
I.尊大で傲慢な行動または態度
この9つのうち5つ以上に該当すればNPDとなります。
ただNPDの人が
本当に才能があり、クリエイティブな人で
自分が望む以上に周りからの賞賛が得られるので
あれば、この自己愛は確固たる自信であり、
周りからもかっこよくうつることにもつながりますが、
そうでないのが大半のNPDです。
ほとんどのNPDは「空虚な自信」
それは何にもなりませんが、
それにすがって生きています。
そこがNPDの一番の問題です。
NPDの治療の焦点も
「現実を告げて患者はそれに耐えられるのか?」
になります。
人一倍自己愛が強いわけですし、
それしかない人に対してそれを否定していくことに
どうしてもなりますので、
NPDの自尊心を守りつつも
問題点の本質をついていくことで
納得はしてもらわないといけません。
また幼少期の養育者の態度が
どのようであったかも、重要になります。
人には自己愛は元々ありますが、
後天的にも作り上げられます。
その作り上げられた自己愛はやはり
養育者の接し方が原因になることが多いからです。
常に過保護に育てられ「あなたは特別な存在」という
扱いの中で育っていることが多く、
NPDの人達は
養育者にいわばマインドコントロールされた状態です。
自分は特別な存在であるという意識だけでは
一生を過ごしていくことは出来ません。
本当に能力があり美貌があったとしても、
いつかは破綻していくものです。
まえだ治療院 院長 前田諭志