こんにちは、まえだ治療院です。
今回は「対人恐怖症/社会恐怖症」についてです。
お話の前に少し細かいことですが、
対人恐怖症は日本での呼び名で、
海外では社会恐怖症(対人恐怖症を含む)や
社会不安障害と呼ばれます。
対人恐怖症と社会恐怖症の明確な違いは
対人恐怖症は
1対1での関わりに対して緊張をおぼえ、
なるべくなら避けようとするものです。
社会恐怖症は
多くの人の前で食事をしたり、話をしたり、なんらかの行動をすることにおびえることです。
対人恐怖症は人ひとりずつに対して、
社会恐怖症は大勢の人に対して
の違いはありますが、
結局は人ひとりが増えていけば大勢になるわけですし、
大勢も結局はひとりずつの人の集まりになりますので
「卵が先か鶏が先か」の話になる「人・社会的活動」に対しての恐怖症になります。
この恐怖症は「日本の文化」も加味されています。
「恥」と言うものになるのですが、
誰だって人前で恥はかきたくないと思うものです。
「失敗を恐れず恥も覚悟で」って
心底思える人が日本人には少ないことが背景にあります
ただ「失敗して恥はかきたくない」
でもやらないといけない場面ありますよね?
それを乗り越えてすこしずつ強くなっていくことも
あると思うのですが、
対人恐怖症や社会恐怖症の人はその状況が
「真の恐怖」でしかありません。
対人恐怖症/社会恐怖症になりやすい人としては、
自己評価が低く自己不確実で
他人から批判されることを恐れる人、
困難を避けようとする回避的人格の人に起こりやすく、自意識過剰になりやすい思春期・青年期に発症しやすいです。
几帳面で気配りの出来る男女に同じようにおこります。
主な症状として
人前に出ると緊張しすぎて、思うように話ができない
頭の中が真っ白になってどうしていいかわからない
体がふるえて冷や汗が出るなどの症状が現われます。
こういった自分の言動、表情、視線などが
他者に
「変に思われていないか?」
「印象悪く思われていないか?」
「軽蔑されていないか?」と
不安になって同じような状況に対して
恐怖感を抱くものです。
また一度そのようになってしまうと、
人前で自分の顔が赤くなってしまっていないかと思う「赤面恐怖」
自分が他人から醜く見えていないかと思う「醜形恐怖」
自分の視線が他者に不快な思いをさせていないかと思う「自己視線恐怖」
自分の体から不快なにおいが出ているのではないかと思う「自己臭恐怖」
など人と関わることで
そのように思い込んでしまうことが起こります。
そうなってしまうとより「人や社会を避ける」
ようになってしまい
仲間とご飯に行くことすら怖くなってしまう
「会食恐怖」などもあります。
このようなことが起こりうる状況としては
会社や学校が圧倒的に多く、
自分のことが知られている間柄であり、
かつあまり親しくない、よく知らない人
と関わることで起こりやすいです。
逆に本当に気心知れた仲であったり、
家庭内や本当に全く知らない人で
関わることが最初で最後のような人、
雑踏の中、知らない土地であれば
症状が現われないことが多いです。
ここで注意しておかないといけないことが、
対人恐怖症/社会恐怖症から
パニック障害に移行するケースや
声が出なくなるやうまく動けなくなるなどの転換性障害
各種恐怖症が妄想として固定化されていき統合失調症の発症につながる可能性があることです。
対人恐怖症/社会恐怖症がひどい場合は
薬物療法による治療が選択されます。
他にも
あえて緊張する場面を段階的に作り慣していく暴露法や
心理カウンセリングが用いられます。
「人前でうまく話せるようになる」ことなども確かに
重要なことかもしれませんが、
治療での一番の目標は
「人がどう自分を見てようとマイペースに生きられる」
ことが最も大切です。
まえだ治療院 院長 前田諭志