こんにちは、まえだ治療院です。
その国、地域、文化、民族にしかない病気のことを
「文化依存症候群」または
「文化結合症候群」とよびます。
意外に思われるかと思いますが
「対人恐怖症」
これはもともとは日本だけの病気でした。
今は世界的にも見られるものとして周知されるようになりましたが
数十年前までは、どこの国にも
「そんな病気ないだろう」と
言われて見向きもされなかったぐらいです。
また拒食症も過去には北米・西欧でしか見られない
身体醜形障害もオーストラリアでしか見られないと
言われていた病気の1つです。
お隣韓国にも文化依存症候群があります。
それは「火病」と呼ばれるものです。
「お腹の中に火の玉があがってくるようだ」という韓国人に特有な愁訴が特徴で、「怒りを抑圧し過ぎたことによって起きる心身の不調」とされるものです。
ここからは他の文化依存症候群をご紹介します。
「コロ」中国南部/東南アジア/漢民族
男性器が萎縮するという恐怖反応。「陽気」の衰退による死という心気妄想に由来する不安抑うつ状態
「ススト」ラテンアメリカ・南米
突然の驚愕、黒魔術、妖術などが原因と言われる「魂の抜け落ちる」状態
不安抑うつ状態
「ネルビオス」ラテンアメリカ
不安神経症で、そうなる原因を神経(nervio)に実体を求める身体表現性障害
「冷感恐怖」中国南部
暑い中でも寒さから身を守るため重ね着をしなければならないという持続的かつ強迫的な欲求、ないし病理的表現
「ラター」マレー半島・インドネシア
不意の刺激によって引き起こされる汚言、模倣反復、命令自動などの特異な反応
「イム」アイヌ民族(北海道)
蛇への潜在的恐怖などから不意の刺激によって引き起こされる錯乱状態や被暗示性の行動。女性に多いと言われた
「ブードゥー死」アフリカ・ポリネシア・オーストラリア
タブーの侵犯や呪いによる死への恐怖から生じる神経衰弱状態。現地人は呪いを信じて容易に死ぬ、あるいは白人に拘禁されて社会性を失った現地人が急速に衰弱死することをこのように呼んで理由付けられたこともある
「ウィンディゴ」北アメリカ(アルゴンキン語系先住民)
凍り付いた森の中で長時間単独で狩猟をしても収穫をあげることが出来ない時などに生じる食人(カニバリズム)への強迫的願望。あるいは当人が思い込むことによる不安抑うつ状態
「悪性不安」アフリカ西部
他者からの妖術を恐れ、社会的能力遂行の不能状態。あるいは殺人や自殺に至る不安状態
「ピブロクト」シベリア、グリーンランドなどの寒冷地のイヌイット
寒冷地に冬季において閉鎖環境におかれた時に生じる暴力行為や模倣行為をともなった急激な興奮状態
「アモク」マレーシア・インドネシア
過度の経済的圧迫や他者の期待に対する重圧感による抑圧から生じる意識障害下での暴力や無差別殺人をともなった興奮状態 アモクamokは「殺気立つ」の英語の語彙
「ムス」サモア諸島
気が進まなく手に負えない状況を表現する言葉。権威ある他者からの命令や叱責された結果、一切の拒絶、器物破損、自殺などに至る抑圧状態
「ラタ」 ジャワ島
驚愕反応によって引き起こされる、昏睡状態に陥った患者が言語的・身体的な自動症を繰り返し演じる状態である。
「脳神経衰弱死」西アフリカの学生
頭部や首筋に熱を感じる、目がかすんでしまい、本を読めなくなる、頭皮の下を何かが這っているような感覚があり、しばしば、呪われて何かが入っていると感じる、といった特徴
「パリ症候群」日本
異文化における適応障害の一種であり、カルチャーショックの一種。「流行の発信地」などといったイメージに憧れてパリで暮らし始めた外国人が、現地の習慣や文化などにうまく適応できずに精神的なバランスを崩し、鬱病に近い症状を訴える。憧れを抱いてパリに住む日本人を襲う適応障害の一種。日常生活のストレスが高じ、妄想や幻覚、自律神経の失調や抑うつ症状
他にも
「選択的摂食障害」イギリス
「ブフェ・デリラント」西アフリカハイチ
があります。
ただここにあげた文化依存症候群はその国だけでしかないものとは限りません。
日本でも食の欧米化が進み生活習慣病や大腸ガンなどが増えたように、文化が輸入されると言うことは
同じように「病気」も輸入されていく可能性があると言うことです。
まえだ治療院 院長 前田諭志