こんにちは、まえだ治療院です。
今回は、高次脳機能障害の「記憶障害」についてです。
記憶が失われていく病気に「認知症」が有名ですが、
高次脳機能障害の記憶障害は認知症のように全体的に少しずつ記憶が失われていくのではなく、
あるどれかの記憶の機能が障害され、
認知症のように症状が進行していくことがないものです。
人の脳内に記憶されていく過程は
対象となるものを「登録」し、それを留めておく「把持」、そして思い出す「再生」になります。
また記憶は内容により分類され
言葉で表現できるものを「陳述記憶」
言葉で表現できないものを「非陳述記憶」
と呼ばれます。
陳述記憶は
1 出来事記憶(エピソード記憶)
その日の出来事や体験の記憶
2 意味記憶
得た知識や言葉の意味の記憶
非陳述記憶は
1 手続き記憶
自転車の乗り方などの体で憶えた記憶
2 プライミング効果
前の刺激が想起に影響する記憶
プライミング効果は10回クイズのように、「ピザ」を
10回言ったあとに、肘を指さされ「ヒザ」と言ってしまうような記憶です。
に分類されます。
また記憶しておくことが出来る時間の分類もあります。
「即時記憶(瞬時記憶)」
これは数秒~数十秒と極めて短い記憶です。
例えば、新しいお店に電話をする時に、電話の操作をしている時だけ憶えているような記憶です。
TVなどでも「今からお見せする10個の数字を憶えてください」といったような問題も、これにあたります。
おおよそ人が瞬間的に憶えることができる数は
7±2です。これをマジカルナンバー7と呼ばれています。
また数字のように無機質なものを、より記憶しやすいように日常生活でも工夫がされています。
例えば郵便番号や電話番号にハイフン-がついているのは123456と表示されているより123-456と
一つずつの塊にした方が、人が憶えやすいからです。
これを「チャンク化」と呼びます。
「短期記憶」
数分~数時間の記憶です。
2日間ほどの長さであれば「近時記憶」とも呼ばれます。
短期記憶で大切なのは、ワーキングメモリーとも
呼ばれる。作動記憶、作業記憶です。
これは何かをしている最中に使われる記憶です。
本を読んでいて、1ページごとに内容を忘れてしまえば
きっと本は楽しめないはずです。
「長期記憶」
数日~数年後も憶えている記憶です。
二ヶ月前の会議の内容などになります。
小さい頃の思い出や、20年前の旅行の記憶など
一生涯憶えているかもしれない記憶は「遠隔記憶」
と呼ばれ、
来週の予定など、常に憶えておかなくてもいいが、
来週の予定をすっぽかさないようにする記憶は
「展望記憶」といいます。
このどれかが障害された状態が記憶障害です。
また他には
人や場所、時間(日にち、季節)が分からなくなる
「見当識障害」
新しいことが憶えられない「前向健忘」
昔のことが思い出せない「逆向健忘」
自分に記憶障害があることを忘れている「病識欠如」
があります。
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まえだ治療院 院長 前田諭志