こんにちは、まえだ治療院です。
今回は高次脳機能障害の「遂行機能障害」についてです。
遂行機能は実行機能とも言われますが、
人の日常生活は遂行機能があっての連続したものになります。
①行動の目標を設定する(ゴールセッティング)
②行動を計画する(プランニング)
③実際に行う(遂行・実行)
④結果の確認や修正を行う(自己モニタリング)
を繰り返して人は何かを遂行しています。
遂行機能は行動と目標や計画を立てて実行し、さらに行動を状況に応じて調節修正しながら完結する機能です。
人には家庭的・社会的・創造的行動には必要不可欠であり、前頭葉の中でも前頭前野の重要な働きの1つです。
この機能が障害されるとどうなってしまうか?
簡単には上記の4つの逆になるのですが
①自分で目標や計画を立てて、物事を実行することができない
②行動を正しいやり方で続けられない
③行動の自己調節や修正が途中でできない
④行動の仕上がりを気にしない
になります。
ただこれ、障害や病気とは言わず
そんな人いませんか?
計画を立てるのが苦手とか
いつまでたっても不器用とか
雑な仕上がりでも気にならないとか
この障害は一人で1~10までを行えるか?
を見ています。
実生活では誰かがそれを補ってくれていて、
生活が成り立っていたりします。
ただ障害となるとどうなるか?
例えば、「料理」
全く自分で料理が出来なくても出来てる食材を買うことも外食も可能です。
この場合ずっと自炊しないでいける経済力があれば料理と言うものが出来なくても何の問題もありません。
とにかく最終的な目的「食べること」が叶えば
生きていけるはずです。
ただここで問題になるとしたら「食料の確保」ができない時です。
「買い物の場所が分からない」
「何を買っていいのかわからない」
それでも配達と言う手もありますので、食料を買いにいけなくても「たべること」は可能です。
ここでもっと問題になるのが、
「そんなことも浮かばない」時です。
自分で料理出来ない=食べ物にありつけない
としか思いつかない状態が遂行機能障害であったりします。
知識や代替案がそもそも浮かばなくなってしまうことが多くあります。
実際の私の体験ですが、
「一人暮らしをするにあたり料理が出来ないことが不安でどうしたらいいか?」と
相談を受けました。
私は「食にこだわりがなければ、うどんとかパスタ便利ですよ」と言うと
その人は「とんでもない!うどんなんて打ったことないし、パスタなんて作り方を見たこともない!」と
いいました。
この世に何人が麺類を粉から作っているでしょうか?
私も作ったことありません。
そのように思って料理が私には出来ないと思っている人もいます。
洗濯が出来ないと言う人もいました
さすがに「洗濯板でするんやろ」とはならなかったですが、
洗濯機の操作が分からない人もいましたが、
「洗剤をどれにしたらいいかわからない」
たくさんメーカーから洗剤はありますよね。
そのどれを使っていいか選べないで、結局洗剤を買えず
洗濯ができない人もいました。
洗濯機の操作が分かる
洗剤を買えた
人でも
「CMで見たけど柔軟剤も買うわ」
と次は柔軟剤が選べない人もいました。
目的を達成できないことが遂行機能の障害です。
目的の達成には周りのサポートも必要だったりしますし
本人の代替案の多さが大切になります。
優柔不断とはまた違う決断力のなさや、
物事の計画の段階で混乱してしまうことが多いです。
まえだ治療院 院長 前田諭志