こんにちは、まえだ治療院です。
今回は高次脳機能障害の「失語症」についてです。
いったん獲得された言語能力が失われる、もしくは
低下してしまうものです。
過去には高次脳機能障害と言えば失語症のことだけを
さして使われていました。
また失語症は「話せなくなる」ことだけではありません。
話すことはもちろんですが、
聞くこと、読むこと、書くこと、計算も含まれます。
失語症の説明は長くなってしまいますので、
症状と分類に分けてお伝えできればと思います。
今回は失語症の症状について
1「無言症」
言葉の表出がない状態、発語の開始ができない状態
2「アナルトリー」
個々の言葉が正しく発音されず歪んでいる。
構音障害とは異なり、構音の誤りに一貫性がない
”構音の障害”と呼ばれる
3「構音障害」
構音器官に麻痺はないが、構音が減弱、不明瞭化している
4「発語失行」
構音器官の麻痺はないのに、意図した音声を作れない
5「反応の遅延」
話すまでの反応開始が数秒を要する
6「プロソディ障害」
言葉のメロディであるプロソディが、
正しい強勢、正しい速度、正しい高低の流れが
失われたものを言う
7「流暢性・非流暢性」
流暢性
発語は途切れず、発語に努力を要さず、構音は明瞭で発語量は多い
非流暢性
発語は途切れ、発語に努力を要し、構音は不明瞭で発語量は少ない
8「錯語」
話したい言葉に誤りがある
字性錯語
音が他に入れ替わる 例)トケイ→タケイ
語性錯語
物が別に入れ替わる 例)鉛筆→箸
9「ジャルゴン」
発語は多いが、錯語が多く意味のとれないものを指す
10「保続」
一度発した言葉が、話の内容、場面が変わっても
繰り返される。
例)A、これ(時計)は?
B、時計
A、これ(メガネ)は?
B、時計
と答えてしまう
11「常同言語」
重度失語症で、残存している言葉を繰り返し言うこと、
この数少ない残存した言葉を残語と言います。
例)何に対しても「いたた」だけで返答する
12「復唱の障害」
聞いた言葉を繰り返して言うことができない
13「反響言語」
聞いた言葉を意味理解を伴わずそのまましゃべってしまう。オウム返し
14「失文法」
文章が断片的 ブローカ失語で見られる
例)今日、 私 、学校 、行きます
15「錯文法」
文章がちぐはぐ ウェルニッケ失語で見られる
例)おもちゃが遊びで子供です
16「統語障害」
名詞、動詞、助詞などを用いて文法に従った文章を作ることができない。失文法、錯文法が代表的である。
17「喚語障害」
語健忘ともいう、物品の名前、言いたい言葉が思い出せない。
※「ここまで言葉が出てきているのに」と言う現象は
舌先現象といいます。
18「迂回反応」
迂言とも言われ、目指す言葉のかわりに、その用途を
言ったりする
例)箸→ごはん食べるとき使うあれ
※ちなみに結論になかなかいかない、まわりくどい話のことは「迂遠」と言います。
19「失語性失書」
主要症状で、文字が書けないが、文字の模写は可能である。
書字の障害には純粋失書、構成失書、文字が左右逆になる鏡像文字などがある。
構成失書は漢字に多く現われ、構成失行を伴う
20「失算」
計算ができないこと、失語症の中核症状の1つです
計算には0~9までの数字と+-×÷の演算記号
繰り下げ、繰り上げについての記憶と操作が必要になります。
になります。
次回は失語症の分類についてお話しします。
まえだ治療院 院長 前田諭志