こんにちは、まえだ治療院です。
今回は高次脳機能障害の「失認」についてです。
失認は、脳の損傷が原因で
物、顔、絵、音声、空間、自身の体などが
正しく認識することが出来なくなった状態です。
ただあくまでも「脳での処理機能」になりますので
目や耳などに原因がないものです。
左後頭葉損傷では
物、画像、文字、色が認識出来なくなり
右後頭葉損傷では
相手の顔、街並が認識出来なくなり
右半球損傷では
左半分の空間がわからない、自分の左半身がわからない
自身の病気そのものに気付いていない
の失認の症状が出ます。
すこし細かく見ていきます。
「視覚失認」見えているのに何かわからない
物体失認、画像失認、色彩失認、純粋失認(文字)、
相貌失認(相手の顔)、街並失認(建物・風景)
「聴覚失認」聞こえているのに何かわからない
聴覚失認(環境音)、失音楽症、純粋語聾(言語音)
「触覚失認」触っているのに何かわからない
物の素材・形態の失認、連合型触覚失認
「身体失認」体の部位の関係がわからない
身体部位失認、
手指・左右がわからなくなるゲルストマン症候群
「病態失認」自分の病態がわからない
バビンスキー型、健忘症候群、ウェルニッケ失語、アントン症候群など、他の病気の症状から自身の病気の状態を把握することができない。
「空間認知の障害」
正面から半分の空間が認識できない半側空間無視
自分の体半分がわからない無視症候群
道順がわからない道順障害
に分かれます。
その中でも
相手の顔がわからない「相貌失認」
半分の空間がわからない「半側空間無視」
について詳しくお伝え出来ればと思います。
相貌失認は
もともと熟知している人、家族であったり、友人であったり、TVの有名人、芸能人も含めて
本当だったらわかるはずの人物を見ても
誰なのかわからなくなってしまいます。
人の顔だけではなく、動物、植物、車の車種なども
含めてわからなくなることがあります。
また人の表情を読み取る表情認知は比較的保たれることが多いとしたものや、逆に
表情、性別、老若の判断も出来なくなるとしているものもあります。
また顔を見ただけでは、誰かわからないのですが、
例えばその人の声を聞いて
「あー●●さん」と認識できることがあります。
これは視覚だけの情報では、認識できませんでしたが、
聴覚での情報を頼りに、その人が誰なのか
導き出すことが可能だからです。
半側空間無視は
正面に対して多くは左側半分が(まれに右)が、
見えなくなっていることは、もちろんですが
左側に注意を向けることができない注意障害とも言われ、
左側にあるものが認識できなくなり、まるで半分の空間にあるものを無視しているかのようになります。
ですので、左半側空間無視の人に
絵を模写してもらうと、左半分が書けていなかったり、一本の横線に対して真ん中に印を入れてもらうようにすると、右に偏って印が入ります。
また左半分がごっそりわからなくなっているわけでは
なく、障害の程度により無視している範囲がかわりますが、左上から視野に入っていないイメージです。
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まえだ治療院 院長 前田諭志