こんにちは、まえだ治療院です。
今回は突然いなくなってしまう「解離性遁走」
についてです。
解離性遁走(とんそう)はフーグとも呼ばれています。
前回の「記憶喪失」で解離性遁走については書かせてもらいましたが、
今回は解離性遁走にフォーカスを当ててお話出来ればと思います。
記憶喪失/記憶障害のお話はこちらから↓
解離性遁走は、苦痛を伴う不快な情動体験があったとき(多くは過度なストレス)に
それから逃れるために、家庭や職場から突然いなくなり行方不明になってしまうものです。
遁走は「旅に出る」「逃げ出す」「飛ぶ」などとも
呼ばれますが、
基本はストレスとなるものから一人離れていくものです。
またいなくなるでも
意図的に、
例えば「夜逃げ」的にいなくなろうとするのか
を計画にするのか、
意図的ではないが、気がついたらもう行動に移っていたのかについては、
人により違いはありますが、
ただ単に「逃げていなくなる」のであれば、
解離性遁走とは言いません。
解離性遁走は逃げている間の
「記憶が全くない」のです。
つまり記憶障害を伴って一人旅に出てしまいます。
向かう先は全く自分にとっても未知の場所であるか
すこしぐらいなら知っているような場所などさまざまです。
ここで疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、
「記憶もないのにどうやって生活していくんだ?」と
確かに記憶は全くありません。
しかしそれは、旅をしていた時のことを全く振り返ることができないだけで、
社会性は保たれています。
ですので、まったくといっていいほど問題無く過ごせてしまいます。
例えば電車を使うなら切符を買って電車に乗り、
降りた駅で昼食なんてとりながら、
街行く人に挨拶なんかもできますし、
今日泊まる宿の確保もできます。
ですので、周りからはまさかそんな状態だなんて
思われることはないですし、一見「普通」なのです。
解離性遁走状態は通常2~3日ほど続きます。
本人も解離性遁走状態から正気に戻ると
「あれ?ここは?」「今までなにしてたんだ?」
「なんでこんな所にいるんだ?」
となります。
そのまま家に帰る人や、行方不明届けから警察に保護される人もいますが、
まれに長期化する。もしくはそのまま解離性遁走状態が
治らない人もいます。
そういった人達はどうなっているのか?
別の土地で、別人格(別人)として生きていることが
多いです。
社会性は保たれているため、そのままその場所で仕事に就き、結婚までと、何事もなかったかのように平穏に暮らしていることがあります。
一度そのようになってしまうと、
仮に解離性遁走から覚め、記憶が戻ったとしても
今の状態を壊したくないため、
そんなことなかったことにしている人もいます。
事実、自分に行方不明届けが出ていることがわかっていても、自分からは申し出ないことがあります。
長らく行方不明になっている人の中には解離性遁走の人が含まれています。
出るに出れない事情もあるとは思いますが、
そうでなければ「元気にやってます」ぐらいは
伝えてあげてもらいたいのですが、
家族は心配して待っているはずですので、
まえだ治療院 院長 前田諭志