こんにちは、まえだ治療院です。
今回は「記憶障害」についてです。
記憶喪失と言えば聞き馴染みのある言葉だと思います。
ドラマや映画などで
「ここはどこ?」「私はだれ?」みたいなこと
一度はご覧になったこともあるのではないでしょうか?
記憶がなくなることを「健忘」と言います。
記憶障害は、
簡単に言えば「記憶がなくなる」ことですが、
記憶がなくなるきっかけや、なくなり方には
種類があります。
身近なものですと、「寝ぼけ」
「いやあ~、昨日そんなことしてた?」
「寝ぼけて覚えてないわ~」も
記憶の障害です。
これが重症化したものが「夢遊病」になります。
あとはお酒を飲まれる方では「ブラックアウト」
「昨日飲み過ぎて記憶ないわ~」です。
ある一定のところから、スコッと記憶がなくなり、
一切覚えていないことを「全健忘」
一部分覚えているものを「部分健忘」
飛び飛びにまだらに覚えているものを「島状健忘」
といいます。
記憶を飛ばすぐらい飲むのは、
脳にも体にもダメージが大きいですので、
楽しく適量ぐらいで、飲みましょうね。
慢性的なアルコール摂取が原因の記憶障害を伴う
「コルサコフ症候群」と言う重症化したものもありますので、お酒はほどほどに。
あとお酒を飲んで「気がついたら寝てしまっていた」
と言うのは、寝てしまったのではなく
飲み過ぎて「気絶」しただけです。
こちらも気をつけましょう。
また突然になる「一過性全健忘」と言うものがあります。
数時間から数週間続きますが、回復していく健忘です。
中高年に多いとされており、昔のことが思い出せない
記憶障害になります。
中国で、便秘で苦しむ女性が、トイレでいきんだあとに
気を失い、そのまま過去20年間の記憶がなくなったと言うことがありました。
その方は数日で記憶が元通りになっています。
また頭をぶつけるなどの
「頭部外傷」で起こる記憶障害では、
頭をぶつけてからを基点に
昔のことが思い出せない「逆向性健忘」
新しいことが覚えられない「前向性健忘」
があります。
逆向性健忘では、新しいことは覚えることができ、
前向性健忘では、昔のことは覚えています。
他にも脳器質性の記憶障害や高次脳機能障害
認知症や薬物による記憶障害があります。
次はメンタルで起こる「解離性健忘」です。
頭をぶつけたなどの原因ではなく、
過度のストレス、心因性で起こる記憶障害です。
ショックな出来事の直後から数日間の出来事が思い出せない「局在性健忘」
ショックな出来事後のいくつかのことしか思い出せない
「選択性健忘」
自分の名前・出身地・年齢・家族・職業などが思い出せない「全般的健忘」
全般的健忘は「全生活史健忘」とも呼ばれますが、
すべてのことを全く覚えていないかと言われると
そうではなく、日常生活の動作、例えばTVの操作は
覚えていたりします。
またある特定の時期から現在までが思い出せない
「持続性健忘」と
ある特定の人物に関連することが思い出せない
「系統的健忘」があります。
2つ以上の人格が存在すると言われている
「解離性同一性障害」(多重人格)でも
交代人格中の記憶や自身のことに対する記憶障害が
見られます。
また「解離性遁走(とんそう)」と呼ばれるものがあります。
フーグとも呼ばれており、
突然みなの前からいなくなってしまうものです。
全国の行方不明者の中にも解離性遁走が含まれています。
家庭や職場を捨てて
突如「一人旅に出てしまう」とも言われており、
解離性遁走にも記憶障害が見られます。
記憶障害から遁走にいたるのではないかと言われており、
本人にも遁走中「旅に出ている」間の記憶は全くありません。
ただ記憶がないのに、旅の生活中に支障は出ないのか?
全く出ません。
ただただ記憶がないだけです。
周りから見てもいたって「普通」なのです。
電車で移動するなら、切符を買い電車に乗り、
降りた先で昼食をとり、町の人にあいさつするなど、
また今晩自分が泊まる宿の手配まで出来てしまいます。
ただ記憶には残っていません。
ですので、本人が解離性遁走状態から目を覚ました時
「あれ?ここはどこだ?俺なにしにここにきたんだ?」
「どうやってきてんだろう?」
となります。
解離性遁走は通常2~3日で回復してくると言われていますが、
ただ長期化することもあり、
一生をかけて記憶が戻らないこともあります。
そのことから、
全くの別人格(別人)として生きている人もいます。
社会性は保たれているので、
そのまま別の地で就職、結婚など
社会的地位や家庭を築いている人もいたりします。
そうなってしまっていると、
前の自分をふとしたきっかけに思い出したとしても、
「今でうまくいっている」からなかったことにしてしまう人もいます。
解離性遁走で失踪届が出されている場合に、
自分に失踪届が出ていると知ったとしても
自分から名乗りでることは少ないとも言われています。
ここからは余談になりますが、
結婚を前にしたカップルがいました。
しかし男性が事故にあってしまい、
病院に運ばれますが数日意識が戻りませんでした。
目覚めた時に、ずっとそばでフィアンセが看病していたのですが、
目覚めた男性には「記憶がありません」
もちろん彼女のことも。
そのまま二人で暮らし、数年が経つことになるのですが、
男性は彼女の記憶が戻ることはありませんでした。
それでも、かいがいしく看病してくれる彼女に対して
好意的にはなり、最後には、
もう一度、
男性から彼女にプロポーズすることになります。
男性の記憶は全く戻っていませんでしたが、
「もう一度同じ人を好きになる」
ふたりはめでたく結婚することになりました。
感動的な話ですね。
まえだ治療院 院長 前田諭志