こんにちは、まえだ治療院です。
今回は「グループセラピー」
集団で行うからこそ得られる治療効果についてです。
同じ境遇の人同士で集まり
一緒に話し合ったり、
体験談を共有する治療を
「グループセラピー」と呼びます。
代表的なものはアルコール依存症の断酒会やAA
薬物依存症の施設のダルクや
特定の不安症や恐怖症(対人恐怖や自己臭恐怖など)
など、
広義では、患者の家族が集まる家族会などもあります。
その中で、個人より集団であるからこそ得られる
治療的因子と言うものがあります。
(Yalomヤーロム:集団のもつ治療的因子に基づく)
今回はそれをご紹介します。
1、希望をもたらすこと
自分より回復していたり、成熟している他のメンバーを目の当たりにすることで、回復への希望をもつことが容易になります。
2、普遍的
自分と同じような問題を抱えている人が他にも大勢いて、悩みは分かち合えることがわかっただけで安堵できます。
3、情報の伝達
教訓的な話やメンバー同士の助言などがきちんと伝わっていく
4、愛他主義
他人のために自分が役立つという体験は、自信と喜びをもたらし、自尊心を回復させる
5、社会適応技術の発達
お互いのメンバーが教え合いながら対処技術を身につけていける
6、模倣行動
他のメンバーの考え方ややり方を真似したり取り入れることで、良い方向に変わったり、自分と同じ問題を持つ他メンバーに対するアドバイスを自分のものにできたりする
7、カタルシス(感情の浄化・換気作用)
同じ悩みをもつ人々と心の内面を分かち合い、自分の感情をさらけ出し、そしてグループのなかで自分が受け入れられると言う体験をすると、心からホッとできて、
心が洗われたような気持ちになれる
8、初期家族関係の修正的繰り返し
幼いときの家族関係がうまく行かなかった結果、身についた行動パターンや考え方は、自然と他のメンバーとの関係のなかで顔を出してくるものです。こういった行動パターンや考え方をグループのなかで繰り返し修正していくことで、少しずつ回復していきます。
9、実存的因子
「実存的」とは哲学用語で抽象的認識を排し現実存在を重視すると言う意味です。
同じ悩みをもつ者同士のなかでは、厳しい現実や自分たちの限界を素直に勇気をもって直面し、あるがままに受け入れることが学べます。メンバー同士の親密な出会いは、厳しい現実に直面してもなお「今、共にある」という実感を与えてくれる。
10、凝集性
メンバーが他のメンバーに対して魅力を抱いていると、お互いに集まり、受け入れサポートし合いながら意味のある関係へと発展する。グループのなかで安心感や、一体感が体験できる。
11、対人学習
グループ内や治療場面でのメンバー同士の対人関係のなかで、人との付き合い方や対処方法を学べる。
グループが社会の縮図といった特性をもつ
以上が集団がもたらす治療効果です。
一人では気づけなかったことなど、
集団では気がつけたりします。
「他人のふり見て我がふりなおせ」ではないですが、
比べる対象があると言うことは
良くも悪くも集団の中でしか得れないものです。
自分を客観的に見れる機会になります。
まえだ治療院 院長 前田諭志