こんにちは、まえだ治療院です。
今回は「アフォーダンス理論」についてです。
アフォーダンスとは、
アメリカの知覚心理学者ジェームズ・ギブソンが、
1960年代に提唱した理論で、
アフォード afford(与える・提供する)を使った
造語になります。
アフォーダンス理論やアフォードと言う言葉は、
今ではさまざまな場面で用いられており、
本来ジェームズ・ギブソンが提唱した考えからは、
遠からずも少し変わった解釈で伝わっていたりもします。
アフォーダンスはすごく簡単に説明すると、
自分がそれをしようとは思っていなかったのに、
周りの環境に誘われるように、つい行ってしまう
ということです。
環境により(空間・道具・物などを含む)、
人の行動が引き出されている現象を指します。
人は脳で考えてから行動するものだと考えられていましたが、
アフォーダンス理論では、人の行動は環境によっても、
引き出されると指摘しました。
みなさんも、ふいに「そそられる」時ってないですか?
今の今まで、頭で考えもしていなかったのに、
椅子があったら座るとか?
「椅子に座りたい、椅子どこだよー」って
なってなくても、
空間に椅子があり、自由に座れるとなれば、
とりあえず座るみたいな経験ないでしょうか?
それは環境にアフォードされています。
遊園地なんてどうでしょうか?
「遊園地に行く」「ジェットコースターに乗る」
ぐらいは決めて入場するとは思いますが、
そのあとのプランまでは、綿密に、
きっと考えてないですよね?
全くのノープランでも、「一日遊べた!」
となるのは、遊園地と言う環境が、
強く遊ぶことを導きアフォードしているからです。
すこし話は変わりますが、
山に登る理由を聞かれた登山家が言う
「そこに山があるから」も
山がある環境があり、
山に登りたいと行動する人がおり、
その人が登山家になることをアフォードしています。
これは、人の行動を変えたいのであれば、
周りの環境を変えるといい。と言うことです。
すっごく広いコンサートホールや劇場など、
映画館でも部屋の空間でもいいです。
集団がそこに集まるとした時、
勝手に自分が体を向ける方向、つまりは
この空間における「正面」って考えたことありますか?
でも、
自分も含めて全員が同じ向きを向いているはずです。
それは、舞台が、画面が、センターマイクの位置が、
椅子の並びが、自然にこっちが正面だとアフォードしているからです。
ここまで揃った環境で
「これ?どっち向いたらいいですかね?」
とはならないはずです。
物や道具ではどうでしょうか?
例えばコップ
持ち手があれば、そこをつかんで持ちますよね?
無ければないような手の持ち方で、
ワイングラスなら足の方を持ったりと、
コップでも形状が変われば自然に、
そのようにしてますよね?
いかに環境が、自然に人の行動に影響を与えているか?
がこれでよくおわかり頂けると思います。
ですので、
人を望ましい行動に導きたいのであれば、
人にこんこんと話すより、
環境を整えれば「人も変わる」と言うことです。
まえだ治療院 院長 前田諭志