こんにちは、まえだ治療院です。
今回は
多重人格「解離性同一性障害」についてです。
映画やドラマでも
取り上げられたりしているものですが、
二重人格なんて呼ばれていたりしますよね。
有名な作品では
ジキル博士とハイド氏が二重人格を取り扱っています。
実際には、二重人格と呼ばれるものは、
2つ、またはそれ以上の人格が存在するため
二重ではなく、多重人格障害と呼ばれていました。
現在では「解離性同一性障害」と呼び
自己同一性(アイデンティティ)が
解離(かけ離れてしまう)してしまっている状態です。
人は無意識のうちに
心の安定を保てるように動いています。
それを防衛機制と呼び「解離」は防衛機制の1つです。
高ストレス下で人格の統合が分離してしまうことを
意味します。
トラウマ体験(災害・戦争・虐待・レイプなど)
による大きな精神的ダメージを
自分自身から切り離して、
意識や記憶・感覚などが、
もはや自分ではないかのようになり、
自分と言う存在が1つに統一されなくなります。
解離性同一性障害で問題になるのが、
何人もの人格があると言うことより、
「自分に戻れなくなる」ことです。
解離性同一性障害は
近年きわめて増加しており、
10代後半から20代で女性が男性の3~9倍多く、
有病率は0.2~1%と言われています。
原因に児童虐待が密接に結びついており、
日本では虐待が原因で63% いじめでは30%です。
アメリカだと80~90%で虐待が原因になっています。
親からの耐えられない苦痛を受け、
それでも親を慕う気持ちとの板ばさみに苦しみ
痛みや記憶・意識を切り離して苦痛から逃れようとする中で解離性人格が形成されていきます。
ただ診断までの鑑別がとても難しいとも言われており、
確定的な診断までに平均で7年かかると言われています。
また解離性同一性障害と類似したものに
統合失調症があります。
1900年前後では、解離性同一性障害は
フランスとアメリカで多数報告されました。
それは1900年前後に多かったのではなく、
統合失調症の診断基準の概念がとても広かったために
項目に多重人格が含まれていたからです。
解離性同一性障害と統合失調症がごちゃ混ぜで
しっかりとした線引きが出来ていなかったのです。
またこの当時は
多重人格は催眠によって人工的に作り上げられた詐病(うそや演技)である。とも言われ
その症状や治療法に関心が向けられていなかった時代です。
ですので、
多重人格は統合失調症と誤診されており、
関心も向けられていなかったために、
適切な治療と言うのは受けれていなかったことに
なります。
時代の移り変わりの中で、
統合失調症の診断基準が整備されていき、
明らかに
統合失調症の診断基準を満たさない1つの独立した疾患として(昔で言う)「多重人格障害」が浮き彫りに
なったのはそれからずいぶん経ってからです。
統合失調症との鑑別がしっかりしてからの1960年代には、解離性同一性障害の報告はほとんどみられなくなっていた時もあったそうです。
解離性同一性障害の治療は
特に難しく、慢性的な経過をたどります。
「本当の自分」が戻ってくるまでには、
長い時間を要すると言うことです。
補足ですが、
モンキーパンチ作のルパン三世の主人公ルパンですが、
変装しすぎて自分の本当の顔を忘れてしまい
元の顔に戻れなくなっているみたいですね。
今ついてる顔も変装中だと聞いたことがあります。
間違ってたらすいません。
まえだ治療院 院長 前田諭志