こんにちは、まえだ治療院です。
今回は思考実験「ビュリダンのロバ」についてです。
思考実験と頭の中だけで行われる実験のことです。
知の探求のために検証しようにも
倫理的観点から実験できないこと、
実験の許可が与えられたとしても、
単純に現実的にできない時に行われるものです。
ビュリダンのロバとは
お腹を空かせた1匹のロバが2本の分かれ道を前にして
左右それぞれの道の先にまったく同じ量の干し草を
見つけた。
干し草までの距離もまったく同じ。
さらにお腹がすくにつれ、
どちらに進むかの決断は
ますます重要なものとなってくる。
どちらの干し草がよりいいのかということもない。
ロバはどちらを選ぶのか?
ロバはどちらに進むのかの決断がつかないまま
餓死してしまう。
これは14世紀の哲学者が考案したとされる思考実験で、
意思決定論を論ずる場合に引き合いに出されるものです。
アリストテレスも類似の問題を考察しています。
一説には
スコラ学派であるフランスの哲学者ジャン・ビュリダンが主張する理性・理論に対して
「理性・理論を強調し過ぎると餓死してしまうから
自由意志が必要である」ことを主張するために、
例え話として作られたものだと言われています。
ロバには
1)右の道を進み干草を食べる
2)左の道を進み干草を食べる
3)どちらにも進まず立ち止まったまま餓死する
の3つの選択肢があることが考えられます。
3つ目の選択肢は明らかに痛みが大きい。
ですが最初の2つには「選択の壁」がある。
その選択の壁が餓死という痛みよりも大きかったため、ロバは3つ目の餓死を選んだと想定される。
「選択の壁」は選択を誤ったという痛み
人がなにか選択を行った場合、天秤かけたものが同等と言えるものであった場合
「別の道の方が良かったのではないか?」という、
後悔・不安の念に駆られ、
時にそれは大きな「痛み」になりうる。
まえだ治療院 院長 前田諭志