こんにちは、まえだ治療院です。
今回は「境界性パーソナリティ障害」についてです。
パーソナリティは「人格」の意味です。
医学用語では人格障害になるのですが、
人格(性格)の障害と言葉のイメージが悪いため
パーソナリティ障害とも呼ばれます。
「あの人嫌な人だな」「性格が悪いな」
という人は組織に属していれば、
一人や二人いるとは思うのですが、
パーソナリティ障害はそのような次元ではありません。
自身が、周囲が、その人格ゆえに
本当に、本当に、本当に
ほとほと困り果ててしまっているものを
パーソナリティ障害と呼びます。
少し細かい話ですが、
「境界性パーソナリティ障害」は
アメリカ精神医学会で使われる診断名で、
WHOでは「情緒不安定性人格障害」になります。
さらに情緒不安定性人格障害は
衝動型と境界型の2タイプに分かれます。
WHOが衝動型と境界型の2つに分けているものを
1つにしているものが、
境界性パーソナリティ障害(以下:BPD)だと
思ってもらえれば大丈夫です。
また名前の「境界(ボーダーライン)」の意味ですが、
「統合失調症や気分障害」と「神経症」の
境界にBPDは位置しています。
統合失調症や気分障害、神経症、
単体の症状とも言えない
でも
小出しにそのような症状もみられる。ため
境界性と呼ばれています。
それではBPDの特徴を見ていきます。
感情は不安定であり、
衝動の自己コントロールが困難であること
衝動的に、結果を考えずに行動する傾向が特徴で、
気分は予測不能で気まぐれである。
情動が暴発する傾向にあり、
行動の爆発を統制できない。
特に衝動行動が邪魔されたり、とがめられると
論争的になり他人と衝突する。
また普段は平穏であっても
些細な動機で著しく激昂し攻撃的になったり、
自傷行為や自殺を図る「短絡反応」と呼ばれる行動を
とることがありますが、
その時だけの一過性であることが多い。
ここまで見るとBPDは
「暴力的で自己破壊的な情緒不安定な人」
になるのですが、
BPDで問題になることは
「必ず他人を巻き込む」ということです。
それには理由があり根底には
「他人から見捨てられたくない(見捨てられ不安)」
という強い思いと不安があるからです。
特定の対象が見つかると
しがみつくような愛着と依存を見せ、
本当に理想の人に出会えたかのようにふるまう
(理想化)のですが、ある日突然理由もなく
敵意に満ちた拒絶の時期に入り対象になっている人は
それはそれはこき下ろされることになります。
対象の相手に対してBPDの人は
自分でそのようにおこなったり仕向けているにも
かかわらず、それでも人から見捨てられることには
強い不安があります。
これには幼少期の母親との関係があるのではないか
と言われていますが、一概には言えません。
このように不安定で激しい対人関係から
周囲が困り果ててしまうのがBPDです。
またBPDの人は
「自分がない(同一性障害)」ことも特徴です。
自分がないからこそ
衝動的で感情も大きく揺れ動き定まりません。
人からかまってもらえるなら
自殺未遂も平気で出来てしまいます。
また慢性的な空虚感と孤独感、退屈感があるため、
より自分を満たすために極端な行動に出やすく、
気分の変動が著しいため「感情のジェットコースター」とも呼ばれます。
BPDの治療にはチームで挑まなければいけません。
それは1対1で会えばBPDの思うツボだからです。
「ボーダーラインシフト」と呼ばれる
治療の指南書があります。
それはBPDに関わる人全ての共通認識であり、
誰一人としてボーダーラインシフトから
外れた言動をとってはいけません。
ひとり一人が違う言動をとれば
BPDの人から揚げ足をとられることになりますし、
BPDの人自体も強い混乱を招くことにつながるため
治療になりません。
以上がBPDについてです。
まえだ治療院では
私ひとりしかいないためBPDの対応はできません。
BPDの人は対応しかねますので、お断りしています。
比較的大きい病院もしくは専門機関にご相談ください。
まえだ治療院 院長 前田諭志